ColosseumII - Strange New Flesh

Strange New Flesh: Upgraded

Strange New Flesh: Upgraded

イギリスのジャズロックバンドのファーストアルバム、1976年リリース。

炸裂ドラマー、ジョン・ハイズマンがこの頃試行していたジャズとロックの融合路線の一つで、無印コロシアムの大曲、「ヴァレンタイン組曲」はプログレ界で特筆すべき名曲の一つだと思っているのだけれど、この2やテンペストアラン・ホールズワースが在籍)はまだ聞いていなかった。

このバンドは“人間国宝”とも称されるハードロック、ブルースギタリストのゲイリー・ムーアが在籍したバンドとして知られてもいるけれど、むしろ私はハードロック系での仕事をほとんど知らず、ゲイリー・ムーアというのはこのバンドのギタリストというイメージだった。ちなみに、ドン・エイリーというキーボーディストもハードロック系で有名なんだけれど、あまりよく覚えていなかった。レインボーは聞いていたのだけれど。

というわけで聞いてみたところ、いきなりの超絶インスト「Dark Side Of The Moog」のテンションがちょっと笑ってしまうくらいの代物。エイリーのムーグが唸りをあげ、ギターもギャンギャン言わせて迫ってくるし、ドラムのテンションの高さも凄まじい。

この曲は以下でフル試聴できるので是非。
COLOSSEUM II discography and reviews
実はこの一曲以外はすべてヴォーカル曲になっていて、ブルージーな歌がなかなか良いのだけれど、どうしても耳はインスト部分の炸裂ぶりに引かれてしまうのがもったいないところ。そのブルージーなヴォーカル曲でゲイリーは良い感じのソロを弾いてたりして、後年の活動を考えると面白い。

全体にテクニカルな面が目立つものの、やはりブルース的な要素が基本にあると思う。ブルースとジャズとロックが主要な要素なのかな。ロックといってもブルースロック系のや重く引きずるような感覚はなく、ジャズ的な小気味よさと軽快さで引っ張っていき、インストパートでテクニカルなソロやアンサンブルが炸裂する感じだ。聞いていてとても気持ちの良い音になっている。

まあ、どの曲もテンションの高い演奏が聴けるのだけれど、このExpand盤では、大量のデモ音源とBBCライブ音源が盛りだくさんに収録されていて、本編と併せて143分程の演奏時間は食傷してしまうほどのヴォリュームだ。多くはデモバージョンで、本作収録曲のデモから、次作以降のデモ、あるいは未発表曲もあり、かなり貴重な音源だろうと思われる。

デモでは「The Scorch」やゲイリーの疾走感あるギターが炸裂の「Interpanetary Slut」が良い。「The Scorch」はライブ映像があった。

また凄いのが二枚目ラストのBBCライブで、三曲の合計時間が34分という長さで、圧倒的な演奏を見せつけている。ただしここに辿り着く頃までにはもういいやってほど演奏を聴かせられて疲れ切ってしまっている始末。

胃もたれする程のExpandぶりで初聴きの私にはアルバムの印象がややぼやけてしまったけれど、ジャズロック系のプログレとしては非常に楽しめるアルバムだとは思う。