SF読んだ記録その三。
シオドア・スタージョン - 一角獣・多角獣
- 作者: シオドアスタージョン,Theodore Sturgeon,小笠原豊樹
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2005/11
- メディア: 単行本
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読んでいると、なんというか、SFを書こうとしてSFになっているというよりは、書いているとSFになってしまった、という代物に思える。所収の短篇「考え方」ではないけど、切り込み方が違う印象だ。
シオドア・スタージョン - 時間のかかる彫刻
- 作者: シオドア・スタージョン,大村美根子
- 出版社/メーカー: 東京創元社
- 発売日: 2004/12/11
- メディア: 文庫
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ザ・ベスト・オブ・アーサー・C・クラーク
90億の神の御名 (ザ・ベスト・オブ・アーサー・C・クラーク 2) (ハヤカワ文庫SF)
- 作者: アーサー・C・クラーク,中村融,岩郷重力+T.K,浅倉久志・他
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2009/07/30
- メディア: 文庫
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メデューサとの出会い (ザ・ベスト・オブ・アーサー・C・クラーク 3) (ハヤカワ文庫SF) (文庫)
- 作者: アーサー・C・クラーク,中村融,岩郷重力+T.K,浅倉久志・他
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2009/10/30
- メディア: 文庫
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どれも結構面白いし、つまらないという訳じゃないんだけれど、どうにも突き抜けたものがないという感じだ。地に足がつきすぎている、というか、あるいはそんなに小説として面白くない(スタージョンと比べるとその点鮮明だけど)という感想になってしまう。宇宙へのロマンが感じられるのは確かで、嫌いじゃないんだけど(「月面の休暇」とか)、積極的に読みたくなる気持ちにはならない。
まあ、『楽園の泉』か『宇宙のランデヴー』には興味があるので読んでみるつもりだけれど。
中村融編 - ワイオミング生まれの宇宙飛行士
ワイオミング生まれの宇宙飛行士 宇宙開発SF傑作選 (SFマガジン創刊50周年記念アンソロジー)
- 作者: アーサー・C・クラーク,スティーヴン・バクスター,アダム=トロイ・カストロ,ジェリイ・オルション,アンディ・ダンカン,ウィリアム・バートン,ジェイムズ・ラヴグローヴ,エリック・チョイ,中村融,鷲尾直広,浅倉久志
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2010/07/30
- メディア: 文庫
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第一巻は上掲クラーク選集でも編者を務めた中村融による「宇宙開発SF傑作選」、というなかなか面白いアプローチの巻。特に、最初の「主任設計士」と巻末の表題作の二中篇が抜群の出来。あと「月をぼくのポケットに」と「献身」もいいな。
編者が解説で編集経緯を説明していて、そのなかで改変歴史ものについて言及している。本書に収録されているものも多くが現実の歴史を題材に、こうであったかも知れない歴史を舞台にして書かれているものが多い。それが顕著なのはバクスターの「月その六」で、これは文字通り、いくつもの異なるIfの世界を渡り歩くことを、六つ目の月と表現している。他の作品でもアポロ計画がそのまま続いている世界などの改変歴史を採用していたりして、それが本書の裏テーマともなっているだろうことがわかる。
なので、本書の性格を違う言い方で表現するとなると、もう一つの「現在」ということになるだろうか。
大森望編 - ここがウィネトカなら、君はジュディ
ここがウィネトカなら、きみはジュディ 時間SF傑作選 (SFマガジン創刊50周年記念アンソロジー)
- 作者: テッド・チャン,クリストファー・プリースト,リチャード・A・ルポフ,ソムトウ・スチャリトクル,F・M・バズビイ,イアン・ワトスン,ロベルト・クアリア,ボブ・ショウ,ジョージ・アレック・エフィンジャー,ロバート・シルヴァーバーグ,シオドア・スタージョン,デイヴィッド・I・マッスン,H・ビーム・パイパー,大森望,瀬戸羽方,古沢嘉通,浅倉久志,伊藤典夫,室住信子
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2010/09/22
- メディア: 文庫
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時間ものにもいろいろあって、歴史は決して変わらないという決定論的なものと、改変可能なものとがあって面白い。この二つがとりあえず時間SFを二分するのだろうか。
本書も別の言い方をすると「過去」になるだろうと思う。時間SFがつねに過去へむかう訳ではないにしろ、ロマンを絡ませたり、リプレイものはやはり過去が主題になるわけで。
山岸真編 - スティーヴ・フィーヴァー
スティーヴ・フィーヴァー ポストヒューマンSF傑作選 (SFマガジン創刊50周年記念アンソロジー)
- 作者: グレッグ・イーガン,ジェフリー・A・ランディス,メアリ・スーン・リー,ロバート・J・ソウヤー,キャスリン・アン・グーナン,デイヴィッド・マルセク,デイヴィッド・ブリン,ブライアン・W・オールディス,ロバート・チャールズ・ウィルスン,マイクル・G・コーニイ,イアン・マクドナルド,チャールズ・ストロス,山岸真,小阪淳,金子浩,古沢嘉通,佐田千織,内田昌之,小野田和子,中原尚哉,浅倉久志
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2010/11/25
- メディア: 文庫
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先鋭的なSFを集めた巻のようになっていて、上記二巻に比べると取っつきにくいものが多い印象だ。個人的にも好きな作品、というのがちょっと少なめ。とはいっても、挑戦的な作品が多く、一番面白みがあるのはこの巻だろうとも思う。最近話題になった作家も多く、長篇のほうに興味が出てきた。
巻頭のショートショートは、本巻のエッセンスを凝縮して突きつけてくる鮮烈さがあってインパクト大だ。イーガンの初訳の表題作は、ちょっとユーモラスな雰囲気もあってなかなかいい。ウィルスによってコントロールされる生物、というネタはハリガネムシが有名か。あるいは昆虫をリモートコントロールした実験も話題になった。そこからの飛躍がイーガンらしいのだけれど。
まあこれは別の言い方をすれば「未来」だろう。全三巻できれいに現在、過去、未来にわけられるのは狙ったことなのだろうか。
カレル・チャペック - マクロプロス事件
- 作者: カレル・チャペック,Karel Capek,田才益夫
- 出版社/メーカー: 八月舎
- 発売日: 1998/12
- メディア: 単行本
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もう十冊ほど読もうと手元に積んでおいたものがあったのだけれど、六月から延々SF小説ばかりをずっと読んで来たためか、まだ読みたいのにもう読めない、もうおなかに入らない、という気分になってきたので、積みSF崩しはいったんやめ。そのうち続きをやるかも。というか、まとめて読むのをやめれば良いだけなんじゃ。