Donal Lunny - Coolfin

Coolfin

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アイリッシュミュージックシーンの最重要人物とも言われるドーナル・ラニー。彼はは70年代から活動しており、いくつものバンドを経て、現代アイリッシュミュージックの立役者とも言われているのだけれど、そんな彼が数十年に渡るキャリアのなかではじめて制作したリーダーアルバムが97年リリースの今作。

アイリッシュミュージックの日本での販売を行っているミュージックプラントのサイトやブログなどでアイリッシュミュージックの最高峰などと言われていたので、どんなものかと聴いてみた。

最高峰といわれるだけあって、これは素晴らしい。極上のアイリッシュトラッドだと思う。アイリッシュトラッドは私の知る感じ、軽快でアップテンポ、お祭りのような明るさがあり、非常に聴いていて楽しい。純粋な(というのもよく分からないが)アイリッシュミュージックが聴いてみたい人には非常に強く勧められる作品だと思う。アイオナ、キーラなどのアイリッシュミュージックと現代の他のジャンルの音楽とを融合させたバンドのファン(俺だ)にもおすすめ。


1.Spanish Point (4:08)
フィドルのリードを軸にして、パイプなどのな楽器が絡んでくるのだけれど、メインのメロディがどうにも変拍子っぽくてとても面白い。オープニングを飾るにふさわしい一曲。

2.The Lowlands of Holland (4:11)
トラッドを元にしたヴォーカル曲。穏やかな歌がいかにも、という感じだ。

3.Glentown (5:08)
お祭り騒ぎみたいな軽快で熱気にあふれた演奏が魅力の一曲。パイプ、フィドルを中心にしたアンサンブルの秀逸さは1曲目と共通のもの。アップテンポに間断なく奏でられるスピーディなメロディは、とても身体を動かしたくなる勢いがある。こういう曲はたぶんその土地でのダンスミュージックのようなものなのだろう。

4.The Mouseskin Shoe and Dancing in Allihies (3:51)
軽快というよりはもう少しメロディを聴かせる感じの曲。

5.Moldavian Typtych (6:21)
ハイテンションのバッキングとヴォーカルの取り合わせ。どんどん歌も演奏も早くなっていくのが面白い。アイリッシュのトラッドというのは皆こんなハイスピードなのだろうか。

6.Butlers (5:34)
1曲目に似た感じのフィドルのメロディ。これまでの曲もそうだけれど、メロディが良くて印象的なうえ、それが間断なく奏でられ続けている。メロディと演奏のテクニカルさのバランスが聴いていて気持ちがよい。いやあ、これも名曲だ。

7.False Fly (3:41)
女性ヴォーカルの非常にトラッドらしい歌が秀逸。これもトラッドアレンジ。ゴーナル姉妹(?)がヴォーカル。

8.Polkas (3:08)
ベースのシンプルなラインの上に、まずはフィドルがスピーディなメロディを奏でる。そこにパイプなどの他の楽器がだんだんと増えていって少しずつ盛り上がっていく。

9.Slides (3:17)
これも軽快なメロディが秀逸なお祭りっぽい雰囲気の曲。アンサンブルの厚みがほんとにお祭りっぽい騒がしさを思わせて楽しい。

10.Kickdancer (4:12)
ホイッスルをメインにしたミディアムテンポな曲。

11.Siul A Ruin (5:17)
フィーチャリングゴーナルのヴォーカル曲。この人はアイリッシュミュージックではかなり有名な人らしい。確かに、歌が素晴らしい。美声というわけではなく、歴史やその土地をイメージさせるトラッドらしい(としか言いようがない)声をしている。

12.Lucky Lucky Day (3:46)
最後の曲もまたアップテンポの曲。スピーディなフィドルやパイプの演奏が爽快だ。


日本盤。

参考。
http://www.mplant.com/irishmusic/otherinstruments.html
http://www3.ocn.ne.jp/~zip2000/donal-lunny.htm