
- アーティスト: ザ・チーフタンズ,スティング,リッキー・スキャッグス,アリソン・クラウス,エルヴィス・コステロ,マリアンヌ・フェイスフル,ジャクソン・ブラウン,ケイト&アンナ・マクギャリグル,ザ・ランキンズ,矢野顕子,ザ・コアーズ
- 出版社/メーカー: BMG JAPAN
- 発売日: 2007/03/21
- メディア: CD
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disc1ではいかにも、なトラッド楽曲が多数収録されている。これを聴いていて思うのは、たとえば70年代以降、ドーナル・ラニーあたりの流れのバンド*1とは感触が違うな、ということだ。素早いアンサンブルを披露していても、なんとなくレトロな感触と、どこか落ち着いた雰囲気があり、牧歌的な要素が強いように思う。とても素朴な感覚。ただ、チーフタンズもデビュー時にはその現代的なアレンジが非難されたというから面白い。
スピーディなアンサンブルを迫真のスリリングさで演奏しきる、というような現代的な感覚と言うよりは、やや落ち着いた、広がりを感じさせる素朴さに傾いている音楽性だと思う。
サウンドトラックを担当したキューブリックの「バリー・リンドン」のテーマなんかも収録。そういうトラッド楽曲もそれぞれに秀逸なのだけれど、チーフタンズは各国のルーツミュージックとのコラボレーションというのもいくつかある。カントリーやロックはその起源にアイリッシュトラッドがあり、またスペインにもケルト文化圏(ガリシアン・ケルトとも)があったりして、それらとの共演というのも多く行ってきている。このアルバムのなかでは、ガリシアのパイプである「ガイタ」という楽器を演奏するカルロス・ヌニェスと共演している「Santiago De Cuba」という曲が面白い。アイリッシュトラッドものとは音楽性が結構違っていて面白い。なお、このカルロス・ヌニェスという人はジブリのゲド戦記のサウンドトラックに参加している。
disc2の方はこれでもか、というくらいに豪華ミュージシャンが参加していて、その名前だけでも凄い。スティング、エルヴィス・コステロ、コアーズ、ヴァン・モリソン、シンニード・オコナー、リンダ・ロンシュタット、アリソン・クラウス、ジャクソン・ブラウン、そして矢野顕子。これでもまだまだごく一部だったりする。
特に私が好きなのは、シンニード・オコナーの「The Foggy Dew」、ナンシー・グリフィスの「Red Is The Rose」、ジャクソン・ブラウンの「The Rebel Jesus」矢野顕子の「Sake In The Jar」(日本盤ボーナストラック)あたりになる。
フォギー・デューはソウルフラワーユニオンでもカバーしていた「霧の滴」で、これは名曲。
ナンシー・グリフィスの「Red Is The Rose」は、これ聞き覚えがあるなと思ったら「Loch Lomond」の別歌詞だった。ロッホ・ローモンドというのはスコットランドにある湖のことで、この曲はその湖を歌ったもの。
ローモンド湖 - Wikipedia
ここでのバージョンはそのアイリッシュヴァリエーションとのこと(The Bonnie Banks o' Loch Lomond - Wikipedia)。
「Red Is The Rose」の映像は見あたらなかったけれども、スコットランドのアイリッシュロックバンドRunrigによる「Loch Lomond」の映像を。名曲、というか合唱したい曲だ。
ジャクソン・ブラウンのは自身のベストアルバム(一枚物の方)にセルフカバーで収められていた曲のオリジナル。アイリッシュなアレンジに非常にマッチした曲で、これも名曲。ムーヴィング・ハーツもジャクソン・ブラウンの曲をカバーしていたりと、彼はアイリッシュトラッドに結構縁がある模様。
矢野顕子の曲は、太鼓のような音が基調となって、和風なんだかアイリッシュなんだか分からなくなるような非常に特徴的な一曲。声も合わせて凄い面白い曲。
音源化されているかは分からないけれど、こんな共演もYoutubeで見つけた。
最近ロバートプラントと共演していたカントリーのシンガー、アリソン・クラウスとの共演。
大ヒットしたアイリッシュポップなバンド、コアーズとのいかにもポップな共演作。
その他いろいろ。いや、非常に密度の高いアルバムです。