表題通りの原稿を書きました。おそらく昨日から書店などで入手できると思います。電子版もコンビニで買えます。
「図書新聞」2019年9月7日号にはちこ著『中華オタク用語辞典』の書評が掲載されました。文字通りの本ですけども、中華圏のネット用語から日本ともさほど変わらぬ中国のオタクの生態と検閲のあるネット風景の様子がうかがえる興味深い一冊です。https://t.co/69rOe1YNtW pic.twitter.com/ldG4NXirpM
— 東條慎生のReal genuine fakes (@inthewall81) 2019年8月30日

- 作者: はちこ
- 出版社/メーカー: 文学通信
- 発売日: 2019/06/28
- メディア: 単行本
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版元のサイトには詳細な目次や索引が載ってて、どんな内容かざっくりわかります。
Twitterに書いたとおりですけど、オタクのSNSでの投稿を模した会話文などを通して、中国語のオタク用語を解説した一冊で、元々は同人誌だったらしいです。私は今回初めて読んだのですけど、オタク用語集という読み物とともに、中国ネット文化小史の趣もあります。台湾での使われ方も一応カバーされていますけど、基本的には中国を中心にしてあります。
個人的には「霊剣山」の名前をねじ込めたので満足してます。私が中華アニメに注目するきっかけになった一作。中国アニメとしては去年の「TO BE HEROINE」や「軒轅剣 蒼き曜」も傑作だったし、香港の漫画家が台湾のサイトに連載していた作品を中国でアニメ化し、日本語に翻訳した「実験品家族」なんかもありますけれども。
主な参考文献は天児慧『中華人民共和国史 新版』岩波新書、遠藤誉『ネット大国中国』岩波新書、藤野彰編『現代中国を知るための52章 第六版』明石書店です。本書と密接に関係する点では『ネット大国中国』がいちばん面白く読めるかと思います。
中国共産党のスローガン「和諧社会」という言葉を建前に政治的、性的なコンテンツの規制が行なわれていて、「和諧」、日本語で言う「調和」がウェブページが削除されたことを示す隠語になっているというのは書評にも書きましたけど、この「調和社会」、伊藤計劃の『ハーモニー』をどうしても思い出しますね。グーグルがファーウェイとの取引を一部停止したという事件があって、そこでファーウェイが独自OSを開発してそれが「Harmony OS」だというのはもちろんこの「和諧社会」を元にしたものだ、というのは本書を読んでいたのですぐわかりました。

- 作者: 遠藤誉
- 出版社/メーカー: 岩波書店
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現代中国を知るための52章【第6版】 (エリア・スタディーズ8)
- 作者: 藤野彰
- 出版社/メーカー: 明石書店
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