反サミットデモでの逮捕における、現地の参加者情報と、報道の違い

札幌で反サミットデモに参加しているMadashanからのメールで、参加者が逮捕された、この件をブログで書いてくれ、と言われたのだけれど、いつの間にか自分で記事を書いていやがった。

札幌で逮捕された参加者が運転していたトラックのすぐ後ろにいたというMadashanの記述はこういうもの。

本日(7月5日)の札幌におけるサウンド・デモにて、トラックの荷台にいたDJ二名と運転手の人がパクられました。僕自身はちょうどトラックの真後ろくらいにいたのですが、突然−−とはいえ、何度かトラックにちょっかいを出そうとはしていた−−機動隊どもが割って入り、トラックを防護盾で完全に包囲、参加者から遮断しました。はじめ何かが起こりそうなのかとも思いましたが、そのときにはすでに運転席から運転手の男性を引きずり出そうとしていたようです。荷台のDJが騒ぎ、カメラを向け、それに気づいた参加者や囲んでいたジャーナリストたちが一斉に運転席へ近寄ろうとしましたが、オマワリどもの壁は崩れず、それどころかDJ二名まで拉致されました。

直後に聞いたところによると、運転手に関しては運転席の窓ガラスを割って、無理やりこじ開けたとのこと。それで、逮捕理由が公務執行妨害だと。なんだ、それは。こっちは本来しなてもいい許可申請までしてやってるんだぞ、カス。死ねよ。というか、公妨ってなんだ。とりあえず、さっき警察署に弁護士を派遣した救対の人の話によると逮捕者は四名、上記三名に加えてロイターのジャーナリストも持っていかれたとか。
死ねばいいのに - 無産大衆

トラックの運転席の窓ガラスを割って突入して公務執行妨害、というのは転び公妨も真っ青の恣意的逮捕。さすが国営ヤクザ、やることが違う。

揶揄は良いとして、わたしは現地にいたわけではないので、詳細な状況も分からないし、現地に居たからこそわからないこともあり得るというのは考慮しておいて、以下を読んでください。

で、この事件、報道ではどうなってるのかとちょっと見てみると、朝日と読売に記事を発見。まず朝日。

北海道警はデモに絡み、ロイター・ジャパンのカメラマンら男2人を公務執行妨害容疑で、別の男2人を同市公安条例違反容疑で、それぞれ現行犯逮捕した。

 調べでは、カメラマンは5日午後4時ごろ、デモの取材中、警備中の警察官の腰をけった疑い。ほかの3人は、車を警察官に接触させたり、道公安委員会の許可したデモの条件に違反したりした疑い。
http://www.asahi.com/national/update/0705/TKY200807050191.html

ロイターのカメラマンがなぜ警官を蹴る必要があるのかわからない。これ、いつもの過剰警備で、カメラマンの行動を妨害でもしたんじゃないか。それと、「車を警察官に接触」っていうのは、デモ中の車に押し寄せて詰め寄ってたからじゃないか? 「非暴力」を掲げたサウンドデモで、道路走行中の車が、どうして警官に接触するんだよ。走路妨害したんじゃないのか。
どっちの事由も、警官側がデモに妨害をけしかけたというのが真相に思えるんだけれど。

で読売の方。

 途中、日本人の若者や黒ずくめの外国人のグループらが騒ぎ出し、止めようとした機動隊ともみ合いになったほか、ロイター通信の日本人男性カメラマン(48)ら4人が公務執行妨害容疑などで現行犯逮捕された。
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20080705-OYT1T00654.htm

やや書き方が異なるのは、情報源の違いか。朝日にはない「日本人の若者や黒ずくめの外国人のグループらが騒ぎ出し」という記述がある。後者は、ブラックブロック、のことか? よくわからないが、この記事では、機動隊は騒ぎを収めるために逮捕したというニュアンスになっていて、明らかにデモ側の非を浮かび上がらせようとしているのが分かる。

この記述が警察発表によるものか、それとも独自取材によるものかはわからない。しかし、Madashanからの現地の声を考えると、この「騒ぎ」は、そもそも警察が車に突撃したから起こった騒ぎではないのか、という疑いが起こる。因果関係が逆転していないか。


もちろん、以上のことはただの推測だ。現地で警察が何をしたのかはニュースだけ見ていても分からないだろうし、現地の情報がまとまってくるのももう少し時間がかかるだろう。とりあえず、報道と参加者情報とで、以上のような相違があり、報道=警察発表(?)に不自然な点が見られることは考慮して頂きたい。