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単著『後藤明生の夢 朝鮮引揚者の〈方法〉』刊行 2022年9月末 幻戯書房より『後藤明生の夢 朝鮮引揚者の〈方法〉』が刊行されます - Close To The Wall 新着順2023.12.31岡和田晃編『上林俊樹詩文集 聖なる不在・昏い夢と少女』の制作に協力 上林俊樹詩文集『聖なる不在・昏い夢と少女』を刊行します | SFユースティティア2023.06.24「リベラシオン 人権研究ふくおか」190号(2023年夏)に「鶴田知也再考――『リベラシオン』第一八九号を読む」を…

2023年に読んだ本と今年の仕事

…つ、私の鶴田知也論と後藤明生論についての概要を紹介した記事です。上林俊樹詩文集 「聖なる不在・昏い夢と少女」作者:上林俊樹SF ユースティティアAmazon岡和田晃編『上林俊樹詩文集 聖なる不在・昏い夢と少女』 『ログワールド』のSFユースティティアから岡和田さん編の『上林俊樹詩文集 聖なる不在・昏い夢と少女』が刊行されます。幻視社別冊とあるように私は編集の実作業つまりPDFファイル作成のほか、表紙デザイン、校正等を担当しました。表紙はしかし表だけで、背表紙や裏表紙の情報記載…

『代わりに読む人1 創刊号』、「文學界」2023年9月号、『ふたりのアフタースクール』

…特集の「これから読む後藤明生2」で、評論家、書店、漫画家とそれぞれに違った角度から書いている。細馬宏通「蕨、遡る歌」、後藤明生の「歌」の意味については少しだけ拙著でも論じたことがあるけれど、『挾み撃ち』に引かれた歌詞の考証から記憶違いのありかたに様々な別の歌の反響を聴き取り、分岐・分身のテーマにもたどり着く論考で非常に面白い。この角度からの論考はなかったはず。そもそもこの文章では『挾み撃ち』の蕨を実地に歩いてみることから始められていて、去年の夏に友田さん主催のオリエンテーリン…

江馬修『羊の怒る時』、石井正己編『関東大震災 文豪たちの証言』

…のがなかなか意外で、後藤明生も『壁の中』で題材にしたこの江戸明治文化の焼失という歴史的転換を印象づける。萩原朔太郎の短詩「近日所感」を引いておく。 朝鮮人あまた殺され その血百里の間に連れなり われ怒りて視る、何の惨虐ぞ 室生犀星の日録、志賀直哉の西から東京へと向かうなかで朝鮮人の暴動を自分は信じないと断言する日記など色々あるけれども序盤の読みどころは泉鏡花の「露宿」だろう。震災に出くわしての体験があの鏡花のスタイル、文章で時に幻想的な戦慄とともに描かれるところがなんとも言え…

室井光広『おどるでく 猫又伝奇集』

…ど、私としてはやはり後藤明生が連想される。拙著『後藤明生の夢』で太宰治連作『スケープゴート』について、ものを書くことは言葉から声や表情を切り離し、つまり故郷から切り離されるという箇所に言及したことがある。室井光広は「翻訳」を通じてそれとは別の行き方をしている。書くことの原理が故郷喪失だとすれば、翻訳の原理は帰郷と言えるのではないか。本書収録作品にはそう考えさせるものがある。してみると、ジョイスに関するエッセイが収録されている本書と、あるいはジョイス『ユリシーズ』と『挾み撃ち』…

「リベラシオン」190号に鶴田知也についての記事を寄稿

…つ、私の鶴田知也論と後藤明生論についての概要を紹介した記事です。『後藤明生の夢』のあとがきに書いた通り、後藤を論じるのに朝鮮引揚げという観点を軸に据えることにしたのは、その前に鶴田知也論を北海道・植民地・アイヌというアプローチで論じたことの延長だったわけです。奇しくも鶴田も後藤も福岡に縁のある作家で、この両者を植民地問題を通じて繋げつつ、鶴田知也をアイヌ差別に抗したという側面だけではなく体制翼賛に加担した時代のものも含めてその可能性と限界を視野に入れることが必要なのではないか…

文学フリマ東京36のメモ

…のが発見でした前回『後藤明生の夢』刊行後で自著を後藤の著作権継承者松崎元子さんのアーリーバード・ブックスさんのブースに置いて頂き、同時に売り子として参加したけれど、それとだいたい同じ感じでブースにお邪魔させてもらっていた。アーリーバードさんは今回は新しく自筆原稿のレプリカを実際の本になったページとセットで販売していて、面白い試みで笑えるおまけもついてたり、幾つか売り切れていた。拙著をお買い上げ頂いた方々、挨拶させて頂いた方々、あるいはそれ以外の方もありがとうございました。今回…

小島信夫『小説作法』

…ところがある。これは後藤明生がカフカの「こま」について言っていることとも似ていて、極小のものに極大なものを見出すモチーフでもあって、小島はそれをカフカ個人と小説の関係についても言っている。小説の向こうに人間を見、自分自身の身を削りながら小説を書くことがメタフィクション性をも持ち込んでしまう、書くものすべてが小島信夫になる彼のスタイルの出所がよくわかるようになっていて、なるほど確かにこれは小島信夫入門にもなっている。 文学というのは、知識があるからこれを整理して書いたって何もな…

国書刊行会の記念冊子と『火蛾』と『じゃむパンの日』

…た。関係者が多いから後藤明生コレクションが良く挙がる。教科書には今の自分よりも少し先の読書がある気がして真っ先に読んでいたという矢部太郎の「国書刊行会の書籍はいつでも新学期です」という一文、なかなか良い。創作技術的に参考になるとかつまらないけどジャケ買いした本とか木下古栗の斜めから行く感じも面白い。あと、私がすべて持っていてすべて読んでないものを挙げている瀧井朝世の項目は変な意味で奇遇だと思った。私が選ぶ国書刊行会の3冊、これだな。このなかで通読したのは『ダールグレン』だけで…

最近読んでた本

…いい結句といい、色々後藤明生を意識したところがかなりある短篇小説で面白く読んでいたら、終盤の回想から戻る瞬間の鮮やかさにとりわけおお、と思わされた。あといくつか。古井由吉のエッセイから競馬を始めてみたりするところでは、このあいだ引退となったエフフォーリアの名前が出て来ているのにおお、と思った。しかし、数日以上本屋に行かなかったことがない、というのは驚く。ネット書店なら毎日見てるけど本屋に日参することは自分はないなあ。大学に行ってた頃は大学生協の書店に必ず寄ってたのが一番頻繁だ…

2022年に読んだ本と今年の仕事

…にて木名瀬高嗣編『鳩沢佐美夫の仕事』第一巻の書評が掲載 2022.06.10『代わりに読む人0』に「見ることの政治性――なぜ後藤明生は政治的に見えないのか?」等を寄稿 2022.09.28単著『後藤明生の夢 朝鮮引揚者の〈方法〉』刊行 後藤明生の夢: 朝鮮引揚者(エグザイル)の〈方法〉作者:東條慎生幻戯書房Amazon2022.09.30図書新聞10月8日号にて住谷春也『ルーマニア、ルーマニア』の書評が掲載 後藤明生文学講義CD付録リスニングガイド執筆 よろしくお願いします。

後藤明生文学講義のCDの付録リスニングガイドに寄稿

文フリ東京で後藤明生文学講義CDをお求めいただいた方には、リスニングガイドを差し上げます。筆者は東條慎生さん。10月に出版された東條さんの著書『後藤明生の夢』も販売します。ブースの店番は、私と東條さん、私の夫、サラリーマンロッカーキノテツの3人体制!ぜひお立ち寄りください! pic.twitter.com/JouTXwG3c5— アーリーバード・ブックス (@earlybirdmeisei) 2022年11月13日 先頃開催された秋の文学フリマ東京で、アーリーバード・ブックス…

最近読んでた本と怪談本と津原泰水の積んでた本

…to本の通販ストア 後藤明生が有馬賴義の「石の会」に参加していたことを知って参照していたんだけど通読してはいなかったので改めて読んだ。ジャリ=石と自称した若手文士たちの親睦会の様子には、こういう時代があったんだなあとなかなか面白かった。石の会は1968年発足の親睦会で、度々集まっては有馬賴義持ちで会合や合宿を企画して、部外秘の会報を出していたりする様子を著者が手持ちの資料なども参照しながら回想している。有馬賴義は直木賞を受賞した作家で、旧華族のなかで自分だけが自らの力で働いて…

2022年9月末 幻戯書房より『後藤明生の夢 朝鮮引揚者の〈方法〉』が刊行されます

後藤明生の夢: 朝鮮引揚者(エグザイル)の〈方法〉作者:東條慎生幻戯書房Amazonhonto.jp 別記事でも書きましたけれども、先年一部を雑誌連載した後藤明生論が『後藤明生の夢 朝鮮引揚者(エグザイル)の〈方法〉』として刊行されます。九月末に入手できるのではないかとのことです。本書は2017年から未來社のPR誌、季刊「未来」に六回連載した「『挾み撃ち』の夢――後藤明生の引揚げ(エグザイル)」を第一部とした、全三部構成の評論です。「未来」でのタイトルは主題が第一部のタイトル…

後藤明生『挾み撃ち』オリエンテーリング参加の記

…代わりに読む人主催の後藤明生『挾み撃ち』オリエンテーリング企画に参加した。挾み撃ち (講談社文芸文庫)作者:後藤 明生講談社Amazon参加者もそうでない人もハッシュタグ付きでリアルタイムにツイッター投稿していて、当日の模様はそちらで見られる。せっかくなので、ツイッターでは投稿してなかった写真も含めてブログでも私の視点から色々書いておきたい。 #後藤明生オリエンテーリング - Twitter Search / Twitter チェックポイントとルートは『挾み撃ち』で主人公の通…

書肆 海と夕焼けでの『挾み撃ち』読書会

…夕焼けにて開催された後藤明生『挾み撃ち』読書会に参加してきました。『代わりに読む人0』刊行記念として、社主友田とんさんと後藤明生著作権継承者の松崎元子さんを迎えての会でした。挾み撃ち (講談社文芸文庫)作者:後藤 明生講談社Amazon代わりに読む人0 創刊準備号作者:蛙坂 須美,海乃 凧,太田 靖久,小山田 浩子,オルタナ旧市街,柿内 正午,鎌田 裕樹,近藤 聡乃,佐川 恭一,田巻 秀敏,陳 詩遠,東條 慎生,友田 とん,haco,橋本 義武,伏見 瞬,二見 さわや歌,毛利…

『代わりに読む人0 創刊準備号』

…む人Amazon私も後藤明生について寄稿した新雑誌。創刊準備号として準備をテーマにした小説・エッセイ・漫画が寄せられた本篇と後藤明生小特集、そして寄稿者の2021年読んだ本の紹介コーナーで構成された一冊。編集長曰く試行錯誤や偶然の出会いの場としての雑誌が、まず準備として始まるのは納得感がある。そもそも編集長(社主と言った方が良いのかも知れない)友田さんの『パリ闊』だって一巻はまだ歩き出さないのだし、後藤明生もまた迂回と脱線の作家だし、数学者のエッセイではグロタンディークを通し…

『代わりに読む人0 創刊準備号』に後藤明生小論を寄稿しました

…小特集「これから読む後藤明生」に「見ることの政治性 ――なぜ後藤明生は政治的に見えないのか?」という十枚程度の小論と、「2021年に読んだ本」のコーナーにエリアーデ『ムントゥリャサ通りで』と梁英聖『レイシズムとは何か』の紹介を書いています。後藤論の副題は依頼文での提案をそのまま持ってきたもので、面白い視点でしたのでそれに答えるように書きました。後藤明生の読まれ方についての話をしながら、七〇、八〇、九〇年代の後藤をざっと素描したものにもなっているかと思います。読んだ本のコーナー…

ラシュディとヴィリコニウムと山野浩一その他

…でなかった気がする。後藤明生の関係で読んだものもあったか。文芸文庫で五六冊まだあるから追々、と思って十年経ったものがいくつもある。 M・ジョン・ハリスン『ヴィリコニウム パステル都市の物語』 ヴィリコニウム〜パステル都市の物語 (TH Literature Series)作者:M・ジョン・ハリスン書苑新社AmazonサンリオSF文庫で出ていた絶版だった長篇『パステル都市』に関連短篇を加えた一冊。『パステル都市』は古代文明の遺物を兵器に転用している騎士と女王の世界で戦争が起こり…

2021年に見ていたアニメ

…プライがあって、私が後藤明生という作家を研究していることをプロフィールから知って、氏の母親が九州の朝倉高校で後藤明生の同級生だったと教えてもらい、しかもやりとりのなかで代表作『挾み撃ち』に「大佐の娘」として出てくる、語り手の顔を赤らめさせる意中の人だったということがわかり非常に驚いた。私はライターで特に人に教えたりはしてないんですけど、その顛末が以下に記事としてまとめられています。 転スラ日記と後藤明生と母親と 《三題噺》 | 日本語あれこれ研究室どうかと思ったもの Vivy…

『失われた世界』『妖精の到来』『うろん紀行』最近読んでた本 2021.12

…身という朝鮮生まれの後藤明生との偶然の符合をも取り込んでて面白い。題材になってる二〇近くの作品の内、読んだことがあるのは半分ほどしかないし内容を忘れてるのも多く、ちゃんと仕込みに気づいてないかとも思うけど、太宰「富嶽百景」の「河口湖」は、作中で結婚が題材になってるようにある店で女性の一人旅について質問され、入籍する予定を口にする。店の人に女一人で旅は珍しいとか結婚予定はとか聞かれるの直球のセクハラだとは思ったけれど、この結婚という話から次篇の『さようなら、ギャングたち』を読む…

怪奇、ゴシック、野宿者、読むこと、フランケンシュタイン、富島健夫など

…セイのかたちをとった後藤明生の『壁の中』ではないか、とも。『壁の中』はドストエフスキー『地下室の手記』のパロディから発して無限に脱線を続けていくことで書かれた作品だったけれども、つまり本書はガルシア=マルケスを後藤明生で読む、という試みではないか。『百年の孤独』は周知の通り「孤独」がテーマになっていて、まさにそういうラストなんだけれども、著者はそこに一族の歴史を「代わりに読む人」を見出している。自分以外のもう一人、つまり「読む」ということ、「代わりに読む」ということは孤独な一…

秋から年末にかけて読んだ本

…だけれど、それは私が後藤明生研究をやっているというのを知ってのことで、偶然の出会い、土地と書物の関係はまさに後藤的なテーマだし、フレンチトーストの挿話は『しんとく問答』の「マーラーの夜」の「海老フライ」の一件を思い出すし、二巻の20ページ前後の文章は非常に後藤明生に肉薄した箇所だと思った。iPhoneの通信の不具合が迷子を生んだように、もはや迷うことのできない現在において、東京でいかにして迷うか、その端緒としてパリのガイドブックという参照先を選ぶという暴挙があって、この東京と…

図書新聞に荻原魚雷『中年の本棚』の書評が掲載

…著者はつかだま書房版後藤明生『四十歳のオブローモフ』に解説を寄せていて、そこでたぶん初めて読んだので、よく知らなかったんですけれど、読んでみて、なぜその解説を書いているのかがわかったのも面白かった。つながりがありつつ絶妙に私の守備範囲外に投げてきた編集さんの依頼も上手いなあと。作家のエッセイとかではない読書エッセイってそういえばほとんど読まないので。著者は過去は玉川信明の大正思想史研究会に所属して、アナーキズムについて研究していたらしいのがなかなか面白くて、糾弾する側もされる…

原爆、引揚げ小説四冊

…面する連作集で、少し後藤明生『夢かたり』を思い出させる。14歳までをほぼ上海で暮らした語り手は1945年の三月に日本に赴き、八月に被爆する。連作は概ね被爆後のことを書いているけれども、時折上海でのことも語られ、上海と被爆の二色がベースになっている。複数の登場人物を配し、被爆してない同級生を置くことで、『祭りの場』より語りに膨らみが増している。解説にもあるように、連作でとりわけ印象的なのは「空罐」と「友よ」だろう。「空罐」は解体直前の高校に再訪し、当時の記憶を友人たちと語り合う…

笙野頼子『会いに行って 静流藤娘紀行』

…子の「師」と「私」。後藤明生『壁の中』での永井荷風の延々たる読み込みを思い起こさせるような文学的先達との小説的対話になっていて、『金毘羅』が自身の誕生秘話でもあったように、今作は作家笙野頼子の誕生に大きくかかわった藤枝静男と自身とをたどり返す一作ともなっている。 デビューから十年、本が出なかった。師匠、私は生きていますよ、と言って京都の下宿 で時々泣いていたりした、しかし彼はそのような脳内他者であるばかりではなく、実はいつも後ろにいてくれたのだった。というのも、私がデビューか…

後藤明生『四十歳のオブローモフ【イラストレイテッド版】』

…ま書房から再刊された後藤明生初の新聞連載小説で、旺文社文庫版には掲載されていたものの単行本にはなかった山野辺進の挿絵を大判で再録した一冊、この機会に再読した。挾み撃ち【デラックス解説版】作者:後藤 明生,後藤 明生発売日: 2019/07/02メディア: 単行本装幀は黄色と黄緑でいくらかデラックス解説版の『挾み撃ち』と似たところがあり、じっさいこの二作は似た題材を違うやり方で書いたものと言える。方法的に編み上げられ焦迫感がある『挾み撃ち』と、新聞小説のリズムで日々の出来事を描…

古井由吉『雪の下の蟹・男たちの円居』と『雨の裾』

…、と言うべきだろう。後藤明生を読み出した時には既に後藤は亡くなっていたけれども、読み出した頃の古井由吉は『忿翁』など(リアルタイムで新刊を買ったのはこれが最初かも)の連作短篇スタイルになって久しい時期でもあった。私が古井について書いた文章では以下のものがある。 古井由吉 - 白暗淵 - Close To The Wall 東京SF大全29・30 『白暗淵』『終着の浜辺』 | TOKON10実行委員会公式ブログ 古井由吉 - やすらい花 - Close To The Wall …

2019年に読んでいた本

…西成彦『外地巡礼』 後藤明生論を含む文学論集で、後藤明生のみならず鶴田知也、島尾敏雄、目取真俊のほか台湾文学やリービ英雄といった外地、移民などの境界にまつわる文学を博捜する一冊。禁じられた郷愁―小林勝の戦後文学と朝鮮作者:原 佑介出版社/メーカー: 新幹社発売日: 2019/04/01メディア: 単行本原佑介『禁じられた郷愁 小林勝の戦後文学と朝鮮』朝鮮で生まれた小林勝の日本の植民地主義との戦いのありさまを読み込む評論。今もなおアクチュアルな日本における朝鮮蔑視の有様をえぐり…

『パラドックス・メン』「幼な子の聖戦」「犬のかたちをしているもの」「会いに行って――静流藤娘紀行」「かか」「改良」「正四面体の華」『黄泉幻記』『夢の始末書』

…永井龍男、尾崎一雄、後藤明生、草森紳一、水上勉、色川武大、田中小実昌、川上宗薫、小檜山博、赤瀬川源平、椎名誠、吉行淳之介、が主人公が実際に付き合った人たちで、これだけの人たちの裏話なわけでそりゃあ面白い。これから書くから朝四時にインターフォンを押してくれ、と言われてその時間に訪れたらインターフォンが壁から剥ぎ取られていた野坂昭如や、盲目のはずが見えているとしか思えない情景を語る舟橋聖一とかインパクトのあるエピソードも多い。著者は、草森紳一に勧められてライターを始めている。そし…